実戦派?
この国じゃ戦争は品切れだ────
最近、古い映画を見る様になった。殊更、新しい映画を避けている訳じゃない。買い込んだビデオやDVDを、比較的古い物から見ているので、そうなっているだけの話だ。何しろ、ビデオテープと言う奴は根性が無くていけない。あまり放ったらかしておくと、折角の映画が見られなくなってしまう恐れが有る。いや。別に、そう言った経験が有る訳じゃないんだ。ただ、使う片っ端からデータが壊れ、重要な物については、常時複数枚のバックアップを余儀なくされた、FDを唯一の記録メディアとして振り回した世代としては、磁気メディアに不信感の一つも抱く様になる。
ともあれ、何本もの映画を見ている内に、記録の一つも書いてみよう、と思い立った。
で、最初の一本が『これ』だ。矢作俊彦先生原案、新日本プロレス公認ビデオムービー、その名も《マッスルストーム》!
……結論から言おう。矢作先生の名前に騙された。何がいけなかったのだろう?矢作先生があくまで原案に留まっている事か?自ら脚本を書き、メガホンを取らなかった事か?
時は昭和77年────発売が平成7年だから、わざとだな────荒廃した東京の一角で、賭けデスマッチが催されていた。その名も、『マッスル・ストーム』。決着はギブアップか、戦闘不能のみ。拳による加撃は禁止としない。銃器や刃物は不可────要するに何でもアリだ。
観戦に訪れた知事に、男は説明する。
「プロレスとは全く次元が違うんです」
────いや、これはプロレスだろう。画面を見て、素直に思った。付け加えるなら、この作品自体が『新日本プロレス・ザ・ムービー』だ。
アクションはレスラーだけあって、悪く無い。あの巨体で、よくもあれだけ動く、と思う。問題は、敵方の多くがレスラーでは無い事だ。いくら素早く動けるレスラーでも、軽量級のアクション俳優と同じ速さで動ける訳がない。自然、敵雑魚役達が繰り出す、キレの有るカンフーアクションの方が画面映えする事になってしまう。これは頂けない。
ストーリーには語るべき点は特に無い。興業を乗っ取ろうとする三国人のマフィアが、支配人の女を誘拐する。元レスラー、同時に元カレが救出に立ち上がる。一度は救出に成功するものの、最終決戦の最中、ヒロインは主人公を庇って銃弾に散る。敵を倒した主人公は、ヒロインの亡骸を抱えて、夕日に消える。こんな所だ。主人公の葛藤や、ヒロインの意外な正体、ラブロマンス等は、このストレートな構成の前には、さしたる意味を持たない。
昔、プロレスラーは子供のヒーローだった。つまる所、仮面ライダーやウルトラマンと同格の存在だった。彼らには一種の超人性さえ許されていた様に思う。
さて、この映画と同じ頃────いや、もう少し後か────に制作された仮面ライダーを、たまたま観る機会が有った。無駄知識を競うTV番組でも取り上げられた、巨大化して戦うライダーだ。昔とあまり、変わった気がしなかった。数年前の作品も、観る機会を得た。派手なCGを駆使したその作品は、過去のライダーとはまるで別物になっていた。
対し、プロレスはどうだろう?まさか、リング上で特撮だのCGだのは使えない。団体名を変え、ルールを変え、やっている事は力動山が空手チョップを振り回していた時代と、そう変わる訳じゃない。結局、アニメや特撮によって、子供達のヒーローの座を追われ、オタクの消費物たるを余儀なくされた。
大昔のライダーと、平成初期のライダーは大差が無かった。平成初期と、平成二桁のライダーはまるで別物だ。
俺はプロレスファンじゃない。この映画が、俺にとっては最新のプロレス、と言う事になる。平成初期から、平成二桁。プロレスは何か変わっただろうか?あまり、興味は湧いて来ない。
First up date - H.17.01/26
Last up date - H.18.08/06
by YO - HIDAKA−モドル−