――――恥ずかしく無いのか?
そう聞かれたら、――――ああ、恥ずかしいね、とそう答えるさ。
まあ、想像してみてくれ。大の男が、ピストルの玩具を振り回して遊び、部屋に飾って悦に浸っているんだ。恥ずかしいに決まっている。
では、子供なら良いのか、と言うと、それは違う。トイガンは子供の持つ玩具じゃない。別に条例やら、検察の怠慢とお節介から生まれた、メーカーの哀れな自主規制やらに、遠慮して言っている訳じゃ無いさ。
俺が初めてトイガンに手を出した頃、ガスガンは環境に有害なフロンガスを使っていた。勿論、電動ガンなんて存在しなかったし、バイオBB弾なんて想像も出来やしなかった。ガスガンは使わない。それが、紳士協定だった。
だから、エアーコッキングガンを買った。第一、子供の小遣い銭では、それ以外の選択肢など有りはしなかった。軍隊の敵は、いつだって世論と大蔵省だ。
当時のエアーハンドガンは揃って、最大射程40mを謳っていた。多分、月で測ったんだろう。1G1気圧下でない事は間違いない。幸い、誰一人として、BB弾を手で投げつけた方が早い事には気付かなかったから、俺達はそれなりにゲームを楽しむ事が出来た。
だが、どこにでも親の財布の紐と、頭の造りが緩い奴は居る物さ。或る日、一人がガスフルオートのAK47を持ち込んだ。もう一人が、イングラムとキャリコM100を担いでいた。
「フロン?別に俺達の時代には困らないからいいじゃん」
が奴らの言い分だった。
勝負が始まる前から決まっている。誰だって乗り気はしない。二人は「お前らの銃じゃ勝負にならないから」と、自前の銃を投げ寄越した。エアーコッキングのライフルやマシンガンだ。連中には勝負する気などさらさら無かったが、動き回り、安全な範囲で反撃して来る的だけは必要だった。
俺はM16を借りたのを覚えている。ガムテープで補修されていた。「スナイパーをやればいい」、と誰かが言った。馬鹿な話だった。アサルトライフルで狙撃をしようなんてのは、デューク=東郷くらいの物さ。さいとうたかをが漫画でどう描いていようが、遠距離狙撃が出来る銃じゃない。大体、二○m四方程度のフィールドで、火力に乏しいスナイパーに何が出来るだろう。しかも、射程とグルーピングで短機関銃に劣るスナイパーだ。丘の上から放ったこちらの弾が、手前でストンとお辞儀する距離で、下から放たれたフルオート射撃が、雨霰と目の前の掩体に弾け散った。
ゲームは崩壊した。全員が勝ち目の無い勝負を放り出し、二人は動く的を失って途方に暮れた。
ガンショップのマスターに聞いた話が有る。子供は銃を選ぶ時、装弾数を最初に聞き、一番多く入る物を買おうとする、と。
マナーなんてひ弱な説教をする気は無いさ。第一、こいつはマナーの問題じゃない。スタイルの問題なんだ。そして、餓鬼にスタイルが有る訳が無い。
判っただろう?だから、トイガンは子供じみた大人の趣味なのさ。
First up date - H.16.03/12
Last up date - H.18.08/06
by YO - HIDAKA