ジングル・ベル、ジングル・ベル
我は求め、訴えたり────
コントロール

インカ・ピスコ

マスカット・ブランデー

750ml

2,480円



 この写真は何に見えるだろう。想像力が少しばかり豊かな人になら、呪いの人形に見えたって無理は無い。中には白人に騙されて、ぶち殺されたインカ皇帝の呪詛が詰まっている────それはそれで愉快な話だが、中身はなんて事は無い、マスカットを原料にした蒸留酒だ。酒税法上、ブランデーに分類されるが、オーク樽では無く、内面を蝋抜きした素焼きの瓶で熟成される。性質としては、ラムやウォッカに近い。そう言えば、古い文学では、ウォッカの事をウォットカと呼んでいた気がする。あまり関係は無いけれど。

 皇帝陛下の麗しい脳天をかち割ると────栓は丸ごと樹脂製だ────芳醇な香りが立ちこめる。蒸留されたマスカットの、独特の香は実に心地よい。この酒を楽しむ上で、恐らく一番幸せな瞬間だろう。
 グラスに注ぐ。無色透明に近いが、仄かに緑がかっている。気のせい、と言われたら、それまでな程、淡い。口にすると、その香から期待を裏切らない味が舌を滑る────のだが……辛い、と言うのとは違う。奇妙な表現になるが、アルコールの肌理が粗い。験しに氷を落としても────滅多にやらない事だ────舌を刺す刺激はさっぱり変わらない。味は優れている、と言うのに、とにかく、突っ慳貪な野郎なのだ。開栓後から、酒は徐々にその表情を変える事が多いが、こいつは、友人宅に持ち込んだ為、一日で飲み尽くしてしまったから、友情を深める間も有りはしなかった。
 値段を考えると、十分に及第点だ。その芳香を楽しむ為だけにでも、十分、買う価値は有ると思う。しかし、万人にお勧め出来るか、と言うと、少々微妙な所だ。

 空になった瓶は当然、放置して来た。何故か、まだ彼の家に転がっている。捨てても戻って来るのかも知れない。ささやかな嫌がらせには、最適な一本。ちなみに、顔だけの、より“イヤ”なデザインのボトルも有る。是非、知り合いの寝室にこっそりと置いて来よう。






























First up date - H.17.04/13
Last up date - H.18.08/06
by YO - HIDAKA

菊正宗〔超特撰〕特醸雅

−モドル−